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食品パッケージをデザインする01【基礎知識編】

食品パッケージをデザインしている人はどんな人?

私は以前プラスチックフィルムを印刷する会社に勤めていました。
工場が国内に数工場、営業所は10所ほど、グラビア印刷の会社としては中堅と呼ばれる会社です。
その会社内に独立したデザイン部があり、全国から営業所の営業を通して依頼が来ます。それぞれの地域によってデザインするものも様々でとても楽しかったです。
プラスチックフィルムのデザインが一般のデザイン事務所などであまりデザインされていない印象があるのは、印刷についての特殊な知識が必要なためだと思います。大手の食品メーカーさんでもデザインは印刷会社に頼んでいることが多いように思われます。
もし食品のパッケージをデザインしたいというデザイナーや学生さんがいたら、印刷会社に勤めるのが一番早いのではと思います。

クライアントについて

クライアントは食品メーカーさんです。米、味噌、うどん、お菓子、ウインナー、ありとあらゆる食品にデザインが施されます。
主にやり取りするのがメーカーさんの商品開発部の方々です。社内にマーケティング部がある会社さんもあります。
他社とのデザインコンペもかなり沢山あり(基本デザイン費はメーカーさんにはタダなので)コンペ・当落・修正・修正・修正…と販売までは基本数カ月かかってデザインされます。

プラスチックフィルムの袋についての基礎知識

食品パッケージのデザイナーなら知っておかなければならない知識、袋の素材や形態について軽くお話します。

袋の形態の種類

合掌袋(がっしょうたい)
スタンダードな袋の携帯です。後ろのシール部分が手を合わせた合掌の形からその名前がついています。袋は開封に優れ、ありとあらゆる所で使用されています。

三方袋
これもスタンダードな形態です。上下左右にシールが施され、フック穴・チャックなど加工されているものも多いです。

ガゼット袋
お茶やカステラ・あられ・かつお節など、中に複数の小袋が入っているものが多く、嵩が高いパッケージです。大抵縦に陳列されています。天面にもデザインが入るのが特徴です。

スタンドパック
立たせるタイプのパッケージです。チャックやフック穴も付けられ、三方と同じようにデザインしています。レトルトやお菓子が多い印象です。

エンドレス
袋の形にせず納品するタイプです。どこをとっても必要な要素が入るようデザインしなければいけません。しょうゆやぎょうざなど小さな小袋に使用されています。

変形袋
あまり沢山あるわけではありませんが、たまにデザインします。
必要なr径を守れば、自分で自由に形を提案できるのでとても楽しいです。

パッケージの形態は棚に置かれる場所や、食品の種類によって形態が異なります。

フィルムの種類

食品パッケージのフィルムは、中に何が入るかによって何種類かの材質を貼り合わせてできています。
光や空気を通さない素材・長期保存できる素材などとても薄いフィルムにも食品を守る工夫が施されています。

透明フィルム
中身を透かせて見せることができます。
白ベタでの窓ヌキ表現ができます。

アルミ
光などを完全にシャットアウトします。
光に弱いお茶葉・レトルトなどの長期保存にも向いています。

アルミ蒸着
アルミと同じ材質に見えますが、製造方法が異なるものです。
アルミよりも比較的薄い素材でポテトチップスなどの袋に使用され、袋は太陽の光を透かすと見れるくらいの薄さでできています。

中身が光に弱い、冷蔵、汁漏れ、長期保存が必要等でフィルムの材質や加工方法が異なるものを選んでいます。

版と色について

ホームページやチラシと違って、フィルム印刷(グラビア印刷)には色数の制限があります。

紙と違ってフィルム印刷は「シロ」が基本色に含まれます。
透明のフィルムに白版で中身が一部見える窓を作ることができます。

デザインに写真がある場合はCMYK+シロの5色が基本です。
そこに、通常だと企業ロゴやデザイン上必要な特色が1〜2色入って、6・7色くらいで印刷されることが多いです。

逆に醤油の小袋などはシロ1色なんてデザインもあります。

これは一色につき1つの版を作るのにとてもコストがかかるため、醤油の小袋など消費者に「成分表示があればシズル表現はいらない」と思われる場合コストを下げるために1色にしているのです。

何をもって特色とするか。

なぜcmykを使っているにも関わらず、追加で特色を加えるのかというとグラビア印刷の印刷方法にあります。
グラビア印刷は高速で版を回して印刷するので「ズレ」や「モワレ」が基本的に発生することを想定しています。
セピア・ベージュなどはマゼンタ・イエロー・ブラックと、3色を使用するのでズレや色味の偏りが出やすく大変デリケートな色といえます。
大事な商品名や、小さな文字、抜き文字(ベタに白文字)企業ロゴなど絶対にズレが許されない所にははっきりと印刷するため特色を必ず使用します。

ですから、パッケージをデザインする時に何色もカラフルにやりすぎてしまうと後で「いったいこれはコストがかかり過ぎるけれどどうやって印刷するの?」という困ったことになってしまい、営業やクライアントさんを困らせることになります。
パッケージデザイナーはかなり沢山の制約のなか、デザインを工夫する必要があります。

上記の説明をふまえて、実際にデザインしてみましょう。
上記のデザインは「6色でデザインしてね」と言われた時に、グラビア印刷のパッケージのデザインでは非常に良くない色の使い方です。
どこが良くないかわかりますか?

1.左上ロゴ部分。
フィルム印刷では色と色にスキマが出ないように色版ごとにオブジェクトを太らせる加工を施します。
これにより、赤と緑が乗算状態になり、両者の色に黒っぽい筋が出てしまうのです。
同じく
・赤+青系
も非常に相性が悪い組み合わせなので隣接しないようにするか、しっかりと白フチをとったデザインにします。

2.本格スパイス、とい入っている部分
CMYK4色が混色された色は印刷にとっていい色とはいえません。
同じような茶色でもマゼンタ・イエロー・ブラックまたはマゼンタ・イエロー・ブルー3色で表現すべきです。
それか特色指定にするのですが、この小さな面のために特色指定はコストがかかりすぎます。
それに加え、白抜き文字が入っているので印刷ズレが起きやすく、困ったデザインです。
・MYなど2色の色+黒文字などで版ズレの起きにくい色使いに変更します。

3.写真の上の白抜き文字
これも4色の混色の上に白抜き文字が入っているため、版ズレの危険性が高いです。

このように、パッケージデザイナーは印刷特性をしっかりと頭に入れた上デザインをしないと、後でクレームの元になり、たくさんの人に迷惑をかけることとなります。

ここまでパッケージのデザインに入る前の基礎知識をお話しました。
次は実際のパッケージデザインにおいて大事なことをお話しようと思います。

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